この計算機について
HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影は、同じシーンを異なる露出で複数枚撮影して合成することで、1枚の露出では両立できない明るい部分と暗い部分を両方生かす手法です。この計算機は基準露出(絞り・シャッタースピード・ISO感度)から出発し、選んだ段間隔ぶんだけ3つのうち1つを上下に調整したブラケティングフレームのリストを作成します。
ブラケット一覧の作られ方
この計算機は、入力した基準露出を中央(0 EV)に置き、選んだステップ幅で上下にフレームを増やします。フレーム数は、必ず基準フレームがあるように 3・5・7・9 枚の奇数のみ、ステップ幅は 1/3・1/2・1・2 段から選べます。
絞り・シャッタースピード・ISO のうち変えるのは 1 つだけで、残り 2 つは基準値のまま固定します。シャッタースピードと ISO は 1 段ごとに値が 2 倍になり、絞り値(F値)は 1 段ごとに約 1.41 倍(√2)変わりますが、向きは逆です。明るいフレーム(+EV)ほど絞りは開き、F値は小さくなります。
数値で見る例
- 基準露出 1/125 秒、f/8、ISO 100 でシャッタースピードを ±1 段刻みの 5 枚でブラケットすると、フレームは約 1/500 秒、1/250 秒、1/125 秒、1/62 秒、1/31 秒になります。全体の明るさの幅は 4 段で、1 枚あたり 1.5 秒の余裕時間を加えた総撮影時間は約 7.6 秒です。
- 夜景のように基準露出が 4 秒なら、同じ 5 枚ブラケットのフレームは 1 秒、2 秒、4 秒、8 秒、16 秒になり、露出時間だけで 31 秒です。余裕時間を含めると約 38.5 秒間、三脚を動かさずにいる必要があります。
- 絞りでブラケットする場合、基準 f/8 なら +1 段のフレームは約 f/5.7、-1 段のフレームは約 f/11 になります。
ダイナミックレンジの目安の読み方
全体の明るさの幅が 4 段未満なら「標準」です。ほとんどの場面は 1 回の露出で十分に写せるため、ブラケットは任意です。4 段以上 8 段未満は「高コントラスト」で、明るい空と日陰の前景のように HDR 合成が役立つ範囲です。8 段以上は「非常に広い」で、逆光のシルエットや暗い室内の明るい窓など、フレームを増やす価値がある場面です。
この区分は一般的な目安です。1 枚で実際に収まる範囲は、カメラのセンサーや RAW で撮るかどうかによって変わります。
注意点とよくある失敗
- 風景のような静止した場面では、シャッタースピードでのブラケットが最も無難です。絞りを変えるとフレームごとに被写界深度が、ISO を変えるとノイズが変わるためです。
- 三脚を使っても、風に揺れる葉や動く人は合成時にゴースト(残像)の原因になります。フレーム数が多いほど影響が大きくなります。
- カメラの自動ブラケット(AEB)は、機種によって対応するフレーム数やステップ幅が異なります。計算結果は参考とし、実際の設定範囲を確認してください。
- 長時間露光が必要な場面では、最も長いフレームがカメラの最長シャッタースピードを超えることがあります。その場合はバルブ撮影やステップ幅の調整を検討してください。
- 1 枚あたりの余裕時間(初期値 1.5 秒)は一般的な目安です。バッファの処理が遅いカメラでは、値を自分で増やして計算してください。
あわせて読みたいガイド
実際のカメラの自動露出ブラケティング(AEB)機能が対応する枚数やステップ幅は機種によって異なります。計算された値は参考としてご利用いただき、撮影前にカメラ本体の実際の設定範囲をご確認ください。
よくある質問
何枚、どのくらいの段間隔でブラケティングすればよいですか?+
通常のシーンでは±1段の3枚で十分な場合が多いです。逆光や夕景のように明暗差が大きいシーンでは、ステップを広げる(±2段)か枚数を増やす(7枚・9枚)ことで、より広い明るさの範囲をカバーできます。
絞り・シャッタースピード・ISO感度のどれをブラケティングすべきですか?+
三脚を使う静止したシーン(風景など)では、フレームごとに被写界深度が変わらないシャッタースピードのブラケティングが最も一般的です。手持ち撮影や動きのあるシーンでは、ISO感度のブラケティングを検討してもよいでしょう。
推定総撮影時間はなぜ表示されるのですか?+
長時間露出のブラケティング(夜景など)はフレームごとの露出時間が長くなるため、撮影全体にかかる時間が想像以上に長くなることがあります。三脚を同じ位置に保つ必要がある時間や、撮影中に光が変化するシーンの計画を立てる際の参考になります。

