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ホワイトバランス完全ガイド:ケルビン値からカスタム設定まで

執筆 · 2026年9月2日 · 4分で読めます

暗い背景でフィラメントがオレンジ色に光る電球とぼけた明かり
Photo by Alex Devera on Unsplash

同じ室内照明の下で撮ったのに、あるカットはオレンジがかり、別のカットは青みがかった経験はありませんか。原因はレンズやセンサーではなく、ホワイトバランスが光源の色温度を正しく読み取れていないことにあります。ホワイトバランスは「この場面での白色はこう見えるはずだ」という前提を置き、その基準に合わせて全体の色を補正する機能で、この前提が実際の光源とずれると画像全体に色かぶりが出ます。

ケルビン(K)が意味するもの

色温度はケルビン単位で表され、数値が低いほど赤み・黄みがかった光(ロウソク、白熱電球)、数値が高いほど青みがかった光(日陰、曇り空)を意味します。ロウソクの炎はおよそ1900K、家庭用の白熱電球はおよそ2700K前後、快晴の正午の太陽光はおよそ5500K、晴天時の日陰は7000〜8000Kまで上がります。カメラはこの値をもとに逆方向の補正をかけます — 光源が赤系(低ケルビン)なら青を加えて中和し、光源が青系(高ケルビン)ならオレンジを加えて中和します。紛らわしいのは、カメラのメニューでケルビン値を自分で低く設定すると写真はむしろ青くなり、高く設定すると黄色くなる点です。これはカメラに「今の光源はこれくらい赤い/青い」と伝えると、カメラがその分だけ逆方向に補正するためです。

プリセットとその落とし穴

晴天(約5500K)、曇天(約6500K)、日陰(約7500K)、白熱電球(約3200K)、蛍光灯(約4000K)といったプリセットは、それぞれの照明環境の平均値を仮定しているため、実際の光源とずれると合わなくなります。特に厄介なのが混合光の状況です。窓際の席で白熱灯照明の下、人物を撮影すると、窓の外の自然光(約5500K)と室内の白熱灯(約3200K)が一枚のフレーム内に混在し、どのプリセットを選んでも顔の片側は暖色に、もう片側は寒色に写ってしまいます。こうした場合はプリセットのどれかを選ぶより、カスタムホワイトバランスやグレーカードを基準にした測定の方が安定した結果が得られます。

カスタムホワイトバランスの設定方法

多くのカメラは、白い紙や18%グレーカードを撮影し、それを基準にホワイトバランスを計算するカスタムモードに対応しています。実際に撮影する場面と同じ光源の下でグレーカードや白い紙をフレーム一杯に撮影し、カメラのメニューから「この写真を基準にホワイトバランスを設定」を実行するだけです。この方法は特にスタジオ照明、色付き照明が混在するイベント撮影、プリセットではどうしても合わない特殊な光源(ナトリウム灯や水銀灯といった街灯)で、目分量よりもはるかに正確な結果を得られます。

RAWで撮ればホワイトバランスは後から戻せる

RAWファイルで撮影すると、ホワイトバランスはセンサーデータに実際に焼き込まれるのではなく、メタデータとしてタグ付けされるだけです。つまり撮影時にホワイトバランスを完璧に合わせられなくても、現像時にケルビンスライダーで正確に修正できます。一方JPEGで撮影すると、ホワイトバランスがピクセル値に直接反映されて保存されるため、大きくずれた色かぶりを後から完全に復元するのは難しくなります。色の判断が難しい光源で撮影する予定なら、RAWで撮っておくことで撮影時に完璧な判断を下すプレッシャーを大きく減らせます。

よくある失敗

オートホワイトバランス(AWB)をつけたまま何カットも連続して撮影すると、カットごとに色味が微妙に変わってしまい、後でまとめて編集する際に色を合わせる手間が増えます。特に夕焼けや朝焼けのように色そのものが写真の主題になる場面では、AWBがその暖色を「補正すべき色かぶり」と判断してかえって消してしまうことがよくあるので、こうした場面では晴天プリセットに固定してカメラの自動補正を止める方が得策です。

実践チェックリスト

  • 窓際の自然光と室内照明が混ざる状況では、プリセットよりカスタムホワイトバランスを優先して検討してください。
  • 夕焼けや朝焼けなど色そのものが主題の場面では、AWBではなく晴天プリセットに固定してください。
  • 色の判断が難しい光源(ナトリウム灯、混合イベント照明)ではRAWで撮影し、現像時の修正余地を残してください。
  • 同じセットとして編集する写真は撮影中にホワイトバランスを固定し、後の色合わせの手間を減らしてください。
  • 撮影時のホワイトバランス設定をExifで確認すると、あるカットだけ色味が違う原因を素早く特定できます。