風景写真は広角レンズで撮ると考えている人は、私も含めて多いのではないかと思います。広角、標準、望遠のレンズによって風景写真がどう写るのかを説明しようと思います。
ところが、この記事に使う写真を選んでEXIFを確認してみると、8枚のうち6枚が35mmフルサイズ換算で41〜77mmでした。広角レンズを使っていない風景写真だったのです。以下で8枚を順に見ながら、レンズごとの違いをまとめます。
風景写真で広角レンズが基本のように思われる理由
1枚の写真にたくさんのものを写し込むために、広角レンズが好まれます。フルサイズで見ると、15mmのレンズは対角画角が約111度、24mmは約84度、50mmは約47度、85mmは約29度です。同じ場所に立っていても、広角ははるかに広い場面を1画面に収めてくれます。
① Canon EOS R5 Mark II · RF15-35mm F2.8 L IS USM · 15mm · f/2.8 · 1/320秒 · ISO 50
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
空、雲、水平線、波、岩まで1画面に入った写真です。近くの前景と遠くの空を一緒に写しやすく、同じ距離・同じ絞りなら、焦点距離が短いほど被写界深度が深いため、手前から奥までくっきり合わせやすくもなります。風景が広い場面であることも加わって、「風景=広角」という公式が生まれるのは自然なことです。
ただし、1枚の写真にたくさんのものを写し込むと、意図を見失いやすくなります。画面の中の要素が増えるほど視線があちこちに散り、肝心の何を見せたい写真なのかがぼやけてしまいます。
② Canon EOS R5 Mark II · RF15-35mm F2.8 L IS USM · 15mm · f/5.6 · 1/1250秒 · ISO 100
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
高い場所から見下ろした都市の写真です。空、太陽、建物、道路がすべて入る分、何を主役にするかを決めないと、視線の行き場がなくなります。端まで入ってしまった不要な物を整理する負担も一緒に大きくなります。
もちろん、広角が合う状況もはっきりあります。後ろに下がれない狭い空間、空と地面を1画面に両方入れたいとき、前景と遠景の距離感を強調したいときなどです。もし写真を撮る目的が、必ずしも何かの意図を込めるためではなく、ただきれいだからとか、撮影した時点のその姿を残したいからというものなら、広角で広く撮っても何の問題もありませんが。
広角・標準・望遠、風景の写り方
| 区分 | フルサイズ換算焦点距離 | 対角画角(例) | 風景での役割 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 広角 | 約35mm以下 | 15mm:約111° / 24mm:約84° | 広い空間と前景・遠景を1画面に | 要素が多く、意図がぼやけやすい |
| 標準 | 約35〜70mm | 50mm:約47° | 目で見た場面に近い自然な構図 | 写すものを選ぶ必要がある |
| 望遠 | 約70mm以上 | 135mm:約18° | 遠い風景の一部を選び、背景を圧縮 | ブレに注意、シャッタースピードの確保 |
区分の境目は、人によって少しずつ異なります。自分のレンズがどれくらいの画角か気になるときは、カメラ画角計算機で確認してみてください。広角と望遠の選び方の基準は、広角 vs 望遠レンズのガイドにもまとめています。
写真に表示された焦点距離と換算焦点距離
EXIFに書かれた焦点距離をそのまま比べると、誤解が生じることがあります。この記事の写真のうち3枚は、APS-CセンサーのCanon EOS R7で撮っており、APS-Cは表示された焦点距離に約1.6を掛けると、フルサイズと同じ画角になります。同じRF15-35mmのレンズでも、R5 Mark IIで15mmで使えば超広角ですが、R7で31〜35mmで使った写真③、④は、換算50〜56mmの標準画角です。写真のEXIFは、ExifLensに写真をアップロードすればすぐに確認できます。
| 写真 | カメラ | EXIF焦点距離 | フルサイズ換算(約) | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| ① 夕焼けの空と海 | Canon EOS R5 Mark II | 15mm | 15mm | 広角 |
| ② 都市の全景 | Canon EOS R5 Mark II | 15mm | 15mm | 広角 |
| ③ 空と建築物 | Canon EOS R7 | 31mm | 50mm | 標準 |
| ④ 葉に囲まれた海 | Canon EOS R7 | 35mm | 56mm | 標準 |
| ⑤ 島の間のヨット | Canon EOS R5 Mark II | 41mm | 41mm | 標準 |
| ⑥ 遠くに降る雨 | Canon EOS R5 Mark II | 61mm | 61mm | 標準 |
| ⑦ 停泊した船 | Canon EOS R5 Mark II | 70mm | 70mm | 標準〜望遠 |
| ⑧ 川向こうの塔 | Canon EOS R7 | 48mm | 77mm | 望遠寄り |
換算方法が気になるときは、クロップファクター計算機とセンササイズとクロップファクターのガイドをご覧ください。
標準画角で写した風景
標準画角は、目で見た場面に近い感じだと言われます。広角のように画面が一度に開かないので、何を入れて何を外すかを、撮影者がまず決めることになります。
③ 換算50mm:一つに集中する
③ Canon EOS R7 · RF15-35mm F2.8 L IS USM · 31mm · f/5.6 · 1/2000秒 · ISO 100
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
建築物を中央に置き、空の割合を大きくとった写真です。周りの木や建物も一緒に見えますが、画面を支配しているのは一つなので、何を撮った写真なのかがはっきりしています。標準画角は広角のように前景が大きく誇張されないため、建築物の形も安定して写ります。
④ 換算56mm:前景のある風景
④ Canon EOS R7 · RF15-35mm F2.8 L IS USM · 35mm · f/2.8 · 1/4000秒 · ISO 100
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
左に葉を置き、その向こうに海と遠くの山が見える写真です。葉がフレームの役割をして、視線が葉から海、遠くの山へと自然に移ります。前景があると、標準画角でも奥行き感が生まれます。
広く写さなくても、空が十分に広く感じられる場面もあります。
⑤ 換算41mm:余白で作る構図
⑤ Canon EOS R5 Mark II · RF24-70mm F2.8 L IS USM · 41mm · f/5.6 · 1/3200秒 · ISO 100
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
両側の島の間にヨットが小さく見える写真です。広角でなくても空と水面を十分に広く写せましたし、画面の大部分が空いているので、小さなヨットがかえって主役になります。
もう少し引き寄せると、遠くにある場面の中から、見たい部分だけを選んで写せます。
⑥ 換算61mm:遠くの場面を選んで写す
⑥ Canon EOS R5 Mark II · RF24-70mm F2.8 L IS USM · 61mm · f/5.6 · 1/1000秒 · ISO 100
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
遠くに降る雨の柱と都市のスカイラインを一緒に写した写真です。広角だったら手前の水面がもっと多く入って、視線が分散していたはずの場面です。見たい部分だけを選んで写しました。
70mmを超えて変わること
画角が狭くなるほど、画面に入るものが減って背景が単純になり、背景と被写体の距離感が近く押しつぶされて見えます。その代わり、ブレに敏感になるので、シャッタースピードを余裕をもって確保する必要があります。
⑦ 換算70mm:被写体一つと単純な背景
⑦ Canon EOS R5 Mark II · RF70-200mm F2.8 L IS USM · 70mm · f/5.6 · 1/400秒 · ISO 50
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
船一隻、森のある島、空だけを残した構図です。風景写真でありながら、ポートレートのように被写体が一つはっきりしています。この写真は1/400秒で撮影しましたが、70mmでは「1/焦点距離」の原則(約1/70秒)よりずっと速いシャッタースピードです。
⑧ 換算77mm:遠くから圧縮して写す
⑧ Canon EOS R7 · RF24-70mm F2.8 L IS USM · 48mm · f/2.8 · 1/3200秒 · ISO 100
(写真をクリックすると元のサイズで見られます)
川向こうの塔と周辺の建物を、雲の下にまとめた写真です。望遠に近い画角で遠くから写すと、建物と周りの木との距離が近く押しつぶされて見え、塔がずっと大きく堅固に感じられます。望遠は、遠くの風景を引き寄せて圧縮するレンズでもあります。
同じ風景でも、レンズによって変わる4つのこと
- 画角:広く写すか、選んで写すかが決まります。
- 遠近感:広角は前景と遠景の距離感が大きく、望遠は圧縮されて見えます。
- 被写界深度:同じ距離・同じ絞りでは、焦点距離が短いほど被写界深度が深くなります。過焦点距離のガイドとあわせて見ると理解しやすくなります。
- 構図の整理:広角は端まで、望遠はブレとシャッタースピードまで気を配る必要があります。
チェックリスト
- この写真で何を見せたいのか、一文で決めてありますか?
- 画面の端に不要な物が入っていませんか?
- 前景になりそうな素材はありますか?(葉、岩、手すりなど)
- いま立っている場所から1〜2歩下がったり近づいたりすれば、もっとよい構図があるのではありませんか?
- 望遠を使うなら、ブレが出ないシャッタースピードを確保しましたか?
よくある失敗:風景だからといって何でも広角
風景だからという理由だけで広角に固定してしまうと、要素が多くなりすぎて、何を撮ったのかがぼやけた写真になりがちです。反対に、望遠で遠くの被写体だけを撮ると、風景の広がりが失われることもあります。レンズを先に決めるのではなく、写したい意図を先に決めてから、それに合う画角を選ぶ順番がよいでしょう。
よくある質問
風景写真に望遠レンズを使ってもよいですか?
はい、使えます。遠くの風景の一部を選び、背景を圧縮して見せるには、むしろ有利です。この記事の⑦、⑧の写真がその例です。
レンズを1本だけ使うなら、どの画角がよいですか?
撮影する場面によって異なります。この記事の写真8枚のうち、4枚は15-35mmズーム、3枚は24-70mmズーム、1枚は70-200mmズームで撮影しました。同じ15-35mmのレンズでも、フルサイズのボディでは広角、APS-Cのボディでは標準画角になったように、レンズとボディの組み合わせまで一緒に見て選ぶのがよいでしょう。
APS-Cカメラでは、焦点距離をどう見ればよいですか?
表示された焦点距離に約1.6を掛けた値が、フルサイズ換算の焦点距離です。同じレンズでも、センササイズによって画角が変わります。
広角レンズはいつ必ず必要ですか?
後ろに下がれない狭い空間のとき、空と地面を1画面に両方入れなければならないとき、前景と遠景の距離感を強調したいときです。
まとめ
風景写真だからといって、広角が正解というわけではありません。広角は広く写すのに向き、標準は一つの場面を自然に見せるのに向き、望遠は必要な部分だけを選んで圧縮して写すのに向きます。レンズを選ぶ前に、この写真で何を見せたいのかをまず決めてみてください。
著作権について
この記事で使用しているすべての写真は、運営者(Chronicle of Moments_SH)が自ら撮影した著作物です。写真は韓国著作権法第4条第1項第9号の写真著作物として保護され、著作権は撮影した時点から、登録などの手続きなしに発生します(同法第10条第2項)。
著作権者の事前の許諾なく、この記事の写真を複製(第16条)したり、ブログ・コミュニティ・SNSなどに掲載・送信(公衆送信、第18条)したり、修正・編集して二次的著作物にすること(第22条)は禁止されています。写真内の著作権表示やフレームを消したり変えたりする行為も、氏名表示権(第12条)や同一性保持権(第13条)を侵害するおそれがあります。ただし、公表された著作物の正当な引用(第28条)や、個人的・家庭内での利用(第30条)のように、法が認める範囲は例外です。
無断で利用すると、侵害停止請求(第123条)や損害賠償請求(第125条)を受けることがあり、5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金に処される場合があります(第136条第1項)。営利目的や常習の場合は、告訴がなくても処罰されることがあります(第140条)。
写真の利用に関するお問い合わせ: skysmoga@gmail.com
© Chronicle of Moments_SH. All rights reserved.